【小説家になろうは悪なのか】令和アニメ論【誰でも書けるファンタジー】
こんにちは。あにばんです。
最近、小説投稿サイト「小説家になろう」発原作の作品が多くアニメ化されていますね。
最近だと「転生したらスライムだった件」 「盾の勇者の成り上がり」「賢者の孫」などがアニメ化されました。
内容はともかく、「なろう作品」とはなんのでしょうか。そもそも「小説家になろう」を知らない人向けに一から説明しようと思います。
小説家になろうとは
そもそも「小説家になろう」とは2004年に個人サイトとして誕生しました。その後利用者が増え続け、2010年に法人化されて今に至ります。
小説家になろう黎明期には「俺TUEEEE系」が主流でしたが、今よりも投稿されている小説のジャンルが様々でしたが、
2012年後半から2013年頃を境に、主人公が異世界に行き、魔王を倒したりハーレムを築いたりする物語が爆発的かつ特異点的に増えました。
小説家になろうには期間別PVランキングによって人気がある作品が目に留まりやすくなるという仕組みがあります。
またそれらの作品は共通して上記のようなパターンが見られるため、それらを総称して
「なろう系」
といった言い方をされています。
※この「なろう系」はテンプレ作品を総称して使われることもあります。誹謗中傷になるような表現での使用は控えるようにしましょう。
なろう系とは何か
なろう系には【お約束】とも言える頻出する定番設定やキーワードがあります。
そのなかでも定番のものをいくつか上げていきたいと思います。
「なろう系」のよくある設定
1.異世界転生/転移/召喚
なろう系の主人公の多くは主人公が異世界へいずれかの形で行くというもの。
多くの場合、主人公は現代日本人としての意識を持ったまま異世界へ飛ばされるが、稀に記憶を何らかの理由で封じられている事がある。
2.チート
主人公は異世界における異世界からやって来た特異な経歴がゆえに何らかの理由で露出して秀でた才能や異能を持つことが多い。
それを生かして最強として強い敵を圧倒する流れが見せ場。
3.パラメータ/スキル
異世界の人間にはパラメータやスキルのようなゲーム的数値が設定されている。主人公はたいてい他のキャラクターよりも数値が優れている。
たまに主人公だけがそのパラメータの存在を知っているということもある。
4.知識/内政チート
パラメータ的なチートがない場合も、現代の科学知識や社会知識を持っているため、技術的に遅れた異世界に革命をもたらすというパターンが多い。
5.ハーレム
主人公が何かというとトラブルに遭遇するのが基本的な物語の作法になっていて、結果として主人公は頻繁に誰かを助けることになる。
助ける相手は女の子が多く、例外なく美形。助けた女の子は必ず主人公を慕うので、助ければ助けるほどハーレム化する。
6.スマホなどの現代の利器
転移ものに多いが、異世界に転移したときに手持ちの品としてよく持ち込まれる。電気ではなく魔力によって充電される設定がある。
また、なぜか電波が繋がったりしてもといた世界の知識をスマホで検索したりできる。擬似・知識チート。
「なろう系」のよくある用語
1.勇者と魔王
多くの世界で魔王が存在し、主人公の多くは勇者として魔王の討伐を行う。
2.魔法
多くの物語で登場し、物語で非常に重要な役割をする。
3.冒険者とギルド
主人公はたいてい冒険者としてギルドで活動をする。新米の主人公がギルドにいるチンピラに絡まれ、主人公は力の一端を見せつけるのは恒例行事。
4.王候貴族
時代や建築設定として中世ヨーロッパが多く使われる。国は王族や皇帝が権力を持っている。
5.魔法学園
ギルドがない場合は魔法学園が変わりとしてある。国内外のエリートが集まる。
6.獣人や亜人
たいてい犬・猫・ウサギなどの半獣人と、エルフやドワーフなどの亜人がいて、だいたいハーレムの一員や協力者、好敵手となる。
7.奴隷
なろう色の強い要素。日本以外のファンタジーに奴隷制が描かれることはあまりないが、ここなろうでは頻出する。
「なろう系」が海外で流行らない理由は
海外、特にアメリカなどは奴隷制度に関して黒い過去があり、極めて敏感でそれをタブー視されていることからかもしれない。
だいたいこのような要素で「なろう系」は作られている。
これらの要素だけで不肖あにばんが即興で物語を構成してみます。
現代日本で死亡した主人公は魔法とスキルやステータスがあり、その能力によって人の価値が決まる中世ヨーロッパのような王族が統治する封建制度の国に現代知識を持ったまま転生する。
魔術の名家の長男として生まれた主人公であったが、魔法やスキルといった能力が軒並み劣っている主人公は幼年期より周囲から冷遇される。
ついに家から追放され国から国へと放浪することとなった主人公。その旅の途中、現代知識を元にして武器を作り、ある街で冒険者を始め目覚ましい活躍を挙げる。
魔獣に襲われたり、困っている少女を助けてゆき美少女ハーレムをつくる。
そして名のある凄腕冒険者として魔王を倒し、勇者としての名声を手にいれ、自らを冷遇してきた人々を見返す。
どうでしょうか? ほんの五分程度で物語は簡単に作れるのです。
このようになろう系の小説は、定番となっている要素を取捨選択し細部の部分だけを他の作品より少し捻りを入れ、いわゆる異世界という名の「馴染みの世界」を構築しているのです。
思ったより単純なことですよね。
筋立ての大半を「お約束」「定番設定」の通り書けばいいという気軽さというものが現在のなろう小説が大量に投稿される要因となったのではないだろうか。
今回はこのあたりで筆を置かせていただきます。
それでは、また。